第9章 アーム


一部の能力者が作り出す、特殊な力を秘めた道具。
それがアームです。
アームは通常擬似物質フェイクマター製です。
擬似物質とは通常の物質にあるべき性質の一部が欠けた特殊な物質で、用途に合わせて様々な性質のものが作成されます。
この擬似物質の精製と加工はごく限られた能力者にしか行うことができません。
現在アームを作成できる能力者はヴァルハラに2組、ミッドガルドに1名の存在が確認されているだけです。

アームには共通した機能があります。
まず、アームは特定の人物しか使用できないよう設定されています。
設定された使用者以外が使おうとしても、その能力を一切発揮しません(頑丈さはそのままなので棍棒代わりに殴りつけるぐらいはできるでしょうが・・・・・・)。
武器型のアームは普段街中を持ち歩くわけには行きません(銃刀法違反になります)。
そのため、アームには普段は別の形態をとったり、使用者が呼ぶ事で瞬時に手元に召喚されたりする機能が備わっている事がほとんどです。

アームは限定強化能力者にとっては非常に重要なものとなります。
いくら能力で強化できるとはいえ、基が弱ければ意味がないからです。
そのため、ほとんどの限定強化能力者は自身の強化できるタイプのアームを武器として使用します。
また、他のタイプの能力者も自分の能力をより強化あるいは補佐するために、または弱点を補うためにアームを所持する事もあります。

アームはヴァルハラに所属する能力者であれば誰でも購入する事が可能です。
資金が足りなければ組織から借金をする形での購入もできます(返済能力を認められれば、ですが。普通に仕事ができるのであれば問題はないでしょう)。
特殊な力を持つアームほどより高額となり、ごく簡素なアームであっても相当の金額を要求されます。
大抵の場合、購入者は莫大な借金を背負う事になるでしょう。
これは魔獣を退治した際の報酬から毎回自動的に差し引かれ、返済できない者(仕事をしない者、踏み倒そうとした者)には組織の制裁が加えられる事になります。大抵はなんらかの形での強制労働になりますが、場合によっては殺される事もあるでしょう。
借金とはいえ利息などに関しては非常に良心的です。きちんと仕事さえしていればいずれは返し切る事ができる(戦闘で死にさえしなければ、能力者は不老長寿で延々働けます)ので、あまり気にしなくても良いかもしれません。

第10章 再生


人間が能力者となる唯一の方法は「生まれる」事です。
すなわち、能力を持たずに生まれた普通の人間は、能力者となる事はありません。
ただし、これには例外が存在します。

強い意志や思念を持ったまま死んだ人間は、能力者として蘇生する場合があります。
これを再生リジェネレーションと呼びます。
しかし、これにはいくつかの条件が必要ですし、条件を揃えたとしても再生が起こるとは限りません。

まず第一の条件として、「死」に近い状態にならねばなりません。
仮死状態であれ本当に死に至るのであれ、一度「死ぬ」事が重要となります。
これは、死の状態から後に、新たに「生まれる」事が能力者となる絶対条件だからです。

第二の条件として、強い意思を持った状態であることが必要です。

第三の条件として、肉体に対しエーテルが強く作用していなければなりません。
ほとんどの場合において、魔獣や能力者に殺される事が条件の一つとなるでしょう。

第四の条件として、肉体の損傷が軽度でなければなりません。
これは傷の場所よりもその大きさが密に関わります。
小さな傷であれば(それが心臓や脳の傷であっても)再生時に治癒しますが、大きな傷である場合治癒しきれないためです。
直接死に至る傷で無い場合はこの限りではありません(両腕を失い、その後に能力者となった者も存在します)
また、肉体がほとんど傷ついていない場合(窒息や毒、凍死など)も問題ありません。

第五の条件として、上記の条件を満たした者のもとに訪れるという「天使」の問いに答えることです。
この条件には不明な点が多く、そもそも「天使」とはなんなのか、答えなければどうなるか等はわかりません。
なぜなら再生を経て能力者となった者は皆、問いに答える事ができたか、「天使」の事自体覚えていないかのいずれかなのですから・・・・・・。

以上が再生の条件ですが、元から能力者として生まれるにも似たような条件が必要となります。
第一、第四の条件は元々満たしているので(第二、第五の条件に関してはなんとも言い難いですが・・・)、必要なのは第三の条件のみとなります。
これは母親が能力者である場合がほとんどでしょう。
なお、再生によって能力者となった者を第一世代[ファースト]、生まれながらに能力者である者を第二世代[セカンド]と呼ぶ事があります。




第1章 能力者
第2章 能力
第3章 魔獣
第4章 エーテル
第5章 エーテルコア
第6章 組織
第7章 クラスとチーム
第8章 ゲート
第9章 アーム
第10章 再生
目次